おさらい!住宅へ鋼板を使うときの注意点を解説

 皆様ご存知の通り、住宅に使用される鋼板の割合は有難いことに年々増加しております。

ちょっと古いですが2018年の住宅金融支援機構の調査では全国の屋根の37.8%がGL鋼板系と他の材料を抑えてトップとなっております。また近年では意匠性も評価され外壁での使用も増えてきております。

とてもありがたいことですが、使用量は増えている一方で、注意いただきたい箇所もあります。

 今回は皆様ご存知かもですが、改めて住宅に使用する際に気を付けていただきたいポイントをおさらい致します。

1.白錆

「白錆」という単語を聞かれたことがあると思います。正確には白錆は錆ではありません。

鉄が錆びる時は基本的に赤錆か黒錆です。では白錆とは何でしょうか?

白錆の正体は鉄の上にメッキしている亜鉛の化合物です。鋼板に付着した腐食因子(海塩粒子や黄砂等)が鉄を錆びさせようとしますが、亜鉛メッキが犠牲となって鉄を守ります。これを犠牲防食作用と言い、この際に白錆が発生します。屋根や壁の大部分は腐食因子がついても雨で洗い流してくれますが、軒下などの雨が当たらない箇所は腐食因子がどんどん溜まり、早期に白錆が発生する可能性が高くなります。

白錆が発生しているという事は鋼板を守る機能が働いているという考え方もできますが、施主様からすれば気になる汚れです。特に近年の黒などの濃色の外壁では目立ちやすく問い合わせが地域によっては増加しております。

対策としては季節に一回程度で結構ですので雨の代わりにホースなどで水を当ててもらうだけでも、発生確率が下がりますので是非施主様へのご案内をお願いいたします。

2.異種金属との接触

金属というのは一般的に、異なる金属との接触(鉄と銅、鉄とアルミ等)の接触により電気的に「卑」と「貴」の金属に分かれ「卑」の金属が早期に腐食します。

例えば銅とガルバリウム鋼板が接触するとガルバリウム鋼板が早期に腐食、穴あきへとつながります。もっと極端な例でいうと本屋根が銅板、下屋がガルバリウム鋼板の住宅で本屋根に降った雨に銅の成分が湧出し、下屋に滴り落ち異種金属により早期に穴が開いたケースも存在します。

金属同士の接触は可能な限り避けていただき、接触せざるを得ない場合は絶縁処理(コーキング・パッキン・ゴムシート等)をお願いいたします。

3.防蟻処理が施された木材との接触

木材の天敵、白アリを防ぐため木材に防蟻処理を施した木材が出回っております。この防蟻処理の薬液の一部に銅が含有されます。

先程の異種金属の話と共通しますが、木材に結露などの水分が付着し銅が流出するというプロセスに繋がります。

木材使用時も直接接触は避けるように願います。

4.コンクリートとの接触

先程から接触ばかりの話となっておりますが、コンクリートとの接触にも注意が必要です。

コンクリートは水にぬれるとアルカリ成分が溶出し、接触している鋼板のメッキ層を溶解させます。SGL鋼板はGL鋼板と比較して耐アルカリ性は向上していますが、予防の観点からも絶縁処理と水分が入らない納めをお願いいたします。

まとめ

ここまで簡単に鋼板使用時の注意事項を列挙してまいりました。

ガルバリウム鋼板は時々「ノーメンテナンスで長持ち」などと間違ったPRをされることがございます。
もちろん完璧な商品ではなく、前述の通り気を付けていただきたい箇所もございますが、他素材と比較しても優れている箇所が多い素材であり、今後の住宅外装材のスタンダードになっていくと自負しております。

計画、施工前に注意点を再度チェック頂き、綺麗な家を長持ちさせていただけるようお願いできればと思います。

お付き合いありがとうございました。